ヒーロー誕生

新しいヒーローが誕生した。斎藤佑樹
端正な顔立ち、連投に耐える強い肉体、小さくたたんだハンカチで汗を拭く仕草の可憐さ、ヒーローの要素満点だ。
しかし何にも増して、どんなピンチにも表情を変えず、平常心を保って自らの力を出し切る強い精神力が最大の魅力だった。延長十二回一死満塁の大ピンチでもその端整なパーカーフェースが崩れることはなかった。
その強い精神力は生まれながらのものなのか?
ある民放で彼の小学生時代の様子を映していた。少年野球で脚にデッドボールを受けて倒れた彼は立ち上がるとバットを地面に投げつけ、投手を睨みつけながら一塁へ歩いていった。小学生時代は彼も感情の起伏の激しい少年だったのだ。それから約6年。幾多の経験が冷静さの大事さを教えたのだろう。
たった6年。いや小学生後半から高校生にかけての6年間は成人の十年以上に相当するのかも知れない。その6年に何があったのか?