自民党圧勝

総選挙は自民党の圧勝に終わった。誰も言わなかったが「歴史的」圧勝と言ってもいいと思う。
少なくとも数年前のサッカーワールドカップよりはるかに歴史的だった。あの当時は「歴史的ゴール」やら「歴史的一勝」やらインフレ的に「歴史的」が使われたか今になってみると何が「歴史的ゴール」だったのか「歴史的一勝」だったのか思い出せない。

今回の勝利は衆議院解散の時の小泉首相の会見に予見された。「国民に聞いてみたいんです。だから解散しました。」あの一言が勝利を呼んだのではないか。
国民は自分の一票が生かされる、自分の一票が国の施策に影響を与える事が出来る、という感触を持った。今までは「コーヤク(公約を膏薬にかけて)は剥がれるものだ」なんて事が平気で言われていた。今回は違った。少なくとも「郵政民営化」という公約は実現しそうだ、それを後押しすれば実現しそうだ、その政策を実現させるのは我々だ、という当事者意識が芽生えたのではないか。
それは歴史的と言ってもいいと思う。

もう一つの大きな傾向は「話し合い=談合」からの訣別と言ってもいい。
「もっと話し合いを」と言う側が負けた。亀井さんは「新党日本と談合はしない」と言ったが談合と話し合いとは何が違うのだ。どちらも関係者の利害を調整して適当な妥協点を見つけることではないのか。
亀井さんは「落ちたら政界から散ります。」と言った。どうして「引退します」と言わないのか。こういう分かりにくさ(リスクヘッジするために分かりにくくしている)も、もうナウクない。

こんな中、9月18日の東京新聞「時代を読む:自民圧勝というよりも・・・」が目を引いた。
ロナルド・ドーアというロンドン大学の先生の記事だが「郵政民営化を唯一の焦点にすることに成功したことも不思議だが、その戦術で3000万人以上の有権者を引きつける事ができたことはなお不思議だ。郵便局に貯金を持っていなくて、政府保証がはずされても平気な人ばかりなのだろうか」等、今回の選挙の感情的な面を危惧している。自民党民主党もみんな一斉に「官くたばれ」的ムードになっているが、問題が山積する中それでいいんですか、という問いかけには耳を傾けるべき点があるように思えた。